Bonjour/Pardon

挨拶にまつわる話を二つ。

ご存知のとおりフランス人の挨拶はボンジュール。
知り合いにその日最初に会った場合必ず握手をする。

僕がインターコンチネンタルのトイレで小用を足していたとき、
隣で同様に用を足しているビジネスマン風のオヤジに、
後ろからボンジュールと声をかけた人がいる。
よっぽど大切な人だったのか、
隣の彼、早々に切り上げたのはよいが、
振り向きざま「ボンジュール」と言って手を差し出した。
さすがに相手は予期せぬ展開に戸惑いの色を見せていたが、
事の成り行き上握手をしないわけにはいかないのだろう。
次の瞬間しっかりと手を握り返していた。

パードンは英語のExcuse me、日本語の「すみません」に相当するような、
多機能な言葉。とても便利。

先日フランス語の学校に行くため、
昼頃凱旋門近くの大通りから一本入った道を歩いていたときのこと、
大通りから曲がってきた一台の車が道の真中に無造作に停車。
ドライバーが突然降りてきて周りをうかがうと、
おもむろに路駐している他の車に小便をかけ始めた。
女性一人を含むわれわれ一同、
全てを惜しげもなくさらけ出している彼のその姿に、
目を丸くして言葉を失っていると、
危機を脱して少し余裕のできた彼は、
正面にいたわれわれの存在に気づき、
笑顔で一言「パードン」。
全てを水に流すその言葉の威力に、
ただ脱帽するのみだった。