千と千尋の神隠し

宮崎駿映画がフランスで特集されるなど、
注目度が高かったのだが、
最新作の『千と千尋の神隠し』がフランスで公開されるという。
しかも一ヶ所だけではなく、
かなりいろいろな場所で公開されており、
なんと我が家の近所の映画館にもやってきた。
映画を見に行くのは一年ぶり(「映画館」を参照のこと)、
パリでは原語上映しているところもあるそうだが、
残念ながらマルメゾンに来る映画は
全てフランス語吹き替え。
パリまで見に行く気力がなかったので、
今回は吹き替え版で見ることにした。



フランス語のタイトルはLe Voyage de CHIHIRO。
「千尋の冒険」ってところか。
神隠しなんて訳しようがないだろうなあ。
ちなみに下の看板は
イザベル・アジャーニの最新作。

夕方4時の回に行く。
ただでさえぎりぎりに家を出たのに、
出がけに知り合いに会ってしまい、立ち話。
急いで行って、どうにか5分前に着いた。
しかしまだ入れない。
窓口のおじさんに「4時の回を見られる?」と聞いたら、
「大丈夫、前がまだ終わってない」と言う。
どうやら4時の回というのは、
4時から入場できるという意味らしい。

入場料は一人5ユーロ。
子供料金はないが、それにしても安い。
金曜の夜と週末はちょっと値段が上がるが、
それでも6.5ユーロ。
それに比べると、日本の入場料は高すぎる。
らんちゃんは一歳だと言ったら無料だったが、
「泣いたら出てくださいよ~」と窓口のおじさんに念を押される。

入れ違いに出てくる人が私を見て、
「すごくよかったよ!」と言ってくる。
日本人だと思って言ってきたのだろうか。
こじんまりした映画館だが、
平日のせいか、がらがら。
一応学校の休み中なのだが…。
それとも関心が低いせい?

4時10分頃からお定まりの予告。
そしてなぜだかマルメゾンのお店の宣伝!
なんだか地元密着だ…。

ようやく本編。
最初の東宝のマークが出てきた段階で
なつかしさいっぱい。
映画が始まって、
最初のシーンからなんだか分からないが、
私の胸は郷愁でいっぱいになって泣きそうだった。
どう考えても泣くシーンではない。
おまけに見知った風景でもない。
なぜだろう?
フランスで日本映画を見られることの感動?
日本からビデオを送ってもらっても
泣いたことなんかないのに。
しかしここで泣いてはもうあとが見られないので、
ぐっとこらえて画面を凝視。

そのうちしっかりフランス語吹き替えされたセリフが始まり、
泣いている余裕はなくなった。
幸いセリフを追わなければ分からないストーリーではなかったので、
どうにか話についていく。
説明する必要もないだろうがお化けの話なので、
お化け嫌いのゆりちゃんは途中何度も
「恐いよ~、帰ろうよ~」と泣きそうになっていた。
馨は最後まで平気だったし、
らんちゃんは時間的にも環境的にも(暗いから)
寝るとふんでいたのに、
最後まで見ていた。

映画そのものは画像がすごくきれいというのが第一印象。
日本語のセリフが分からないのでなんともいえないが、
どれだけ忠実にフランス語訳されているのだろうと思った。
日本語特有の微妙なニュアンス、
どれだけ伝わっているのだろう?

フランス語では「ちひろ」を「しいろ」、もしくは
「しいご」と発音。
CHIHIROはフランス人には難しい発音なのだ。
Hは読まないし、Rは「ラ行」ではない。

映画のラストで日本語の主題歌がかかった。
しかしフランス人たちは映画が終わったと思うと
さっさと退場。
映画の中で一度もかからなかった曲だし、
ちょっとちょっと聞いていってもいいんじゃない?
と思うのは私が日本人だから?
大体日本語の歌を聞いても分からないものね…。
でもちょっと寂しいな。

次の回はさっきよりたくさんの人が並んでいた。
もっともっとたくさんの人が興味を持ってくれればいいと
このときばかりは思った。