学校探し

フランスに来るまでずいぶん期間があったにもかかわらず、
危機感がまるでなかったのでフランス語を勉強する気も起こらなかった。
「ボンジュール」「オーボア」「メルシー」、あと数字の1、2、3、
本当にこれだけのフランス語で住み始めたら、
旅行ならともかく、すぐに「まずい」と気がついた。
日常生活にはまだまだ必要な単語がたっくさんあったのだ。
ゆりちゃんの幼稚園の先生との意思疎通もろくにできない。

さっそくフランス語の先生を探し始める。
当時幼稚園に行っていたのはゆりちゃんだけだったので、
馨とらんちゃん二人を預ける場所を探すよりも、
先生に家に来てもらった方が手っ取り早いと思った。
日本人向けアノンスでいくつか探して電話をしてみると…
「パリ市外には行きません」
冷たく断られるのだった。
(このフレーズはその後幾度となく聞かされることになる)
パリ市外といったって、ほんの10分ほど外にあるだけなのに。
近所で探すのが一番いいのだろうが、
どうやって探したらいいのか分からない。

そこで市役所へ。
いろんなパンフレットを集めてくる。
中に市のカルチャーセンターのパンフレットがあった。
そこにもフランス語の講座があったのだが、
お子様連れでは通えないし、
基本的に市民向けの講座。
初歩からやっているとは考えにくい。
ぱらぱらとめくっているうちに、ふと目にとまった広告。
「外国人向けフランス語講座」
これこれ、まさにこれだわ、私の探していたものは!!!
さっそく電話する。
外国人向けとうたっているのだから、
まさかフランス語しか通じないってことはないだろう。
思ったとおり英語が通じて、いろいろ話を聞くと、
授業料年間500フラン、と言う。
年間?一ヶ月の間違いか?
何度も聞き返すが年間だという。
約一万円ですよ。
個人家庭教師の場合、一時間100フラン以上。
一ヶ月でもとが取れる。
授業は週2回、一回2時間。
市から援助を受けているのか?と聞いてみたが、
受けていないという。
ここは市のカルチャーセンターとは違うのだ。
一体どうやって経営が成り立っているのだろうか…?
疑問は残るが、この安さには変えがたい。
さっそく申し込む。
しかし。
クラスは10月スタート、翌年6月エンドでワンサイクル。
私が申し込んだのは4月だった。
途中から始めるクラスが作れるかどうか検討してくれたが、
生徒が集まらずぽしゃる。
しょうがないので新学期が始まるまで待つことになった。