入院生活

入院は5日間

分娩日を入れて5日間だった。
ただ、だまっていると6日目か7日目の退院になるようだったが、
私は帰りたいと主張して5日目の退院に。
通常分娩で母子ともに異常がない場合は
早めの退院はごく普通のようだった。
驚いたのは、隣のベッドのママ。
私の次の日に無痛分娩にて出産。
母子ともに健康だったが、
なんと私と同じ日の午後に退院していった。
4日半で退院したことになる。
欧米では入院期間が短いとよく言われるが、
少なくともフランスはそれなりに入院期間を要求された。

相部屋

個室か相部屋の選択があった。
個室だと個室代が一日70ユーロ。
トイレ、シャワー、電話がついているそう。
しかし相部屋といっても二人部屋と聞いたので、
それなら大差ないと思って相部屋を希望した。
ついで「電話、テレビはいるかいらないか」と聞かれ、
産後テレビは見ないが電話はするかも、と
電話ありの部屋を希望。

ところが私の入った部屋はなぜか三人部屋。
よーく見たら相部屋は二人「以上」の部屋とのこと。
部屋の広さは十分だが、ベッドを仕切るカーテンはなし。
隣の産婦さんの様子や会話が丸見え丸聞こえ。
その分コミュニケーションは取りやすかったけれど…。

私のいた部屋の産婦さんの構成。
リリー:どうやら切迫早産で入院中。
もう2週間も病院にいるので疲れたと言っていた。
二人目で上に娘がいると言っていたが、
なんと上の子が17歳ということが助産婦さんとの会話で判明。
クレール:初産婦さん。両家の初孫か?
とにかく見舞い客が多かった。
私:マルメゾンでは珍しい日本人。
ダンナも日本人、そして子供は四人目、
クリニックで一番大きい赤ちゃん。
そしてほんのちょっとだけいた四人目の産婦さん
(三人部屋なのに臨時ベッドで入っていた):
赤ちゃんが保育器に入って部屋にやって来た。
といっても2700グラムもある、ごく普通の赤ちゃん。
ママは無痛分娩の麻酔の切れる後遺症で苦しんでいた。

と、クレールを除いて話題に事欠かない部屋だったのだ。
そしてその話題満載の部屋にやってくる見舞い客は
ほとんどがクレールあて。
いや~、飽きなかったと思いますよ~。

電話

私の枕もとには電話があった。
これは自由に使っていい電話なのかと思っていたが、
受話器を取ってみたらなんと交換につながった。
実は私、交換電話って初めて使いました~。
最初はなんて言ったらいいんだ?ととまどったが、
リリーやクレールが電話する様子を見て真似する。
かけるのはそんなに難しくないが、
問題は受けるほう。
部屋に電話は2台あったが、
かかってくると2台ともベルが鳴るので、手薄な人が取る。
それが誰あてなのか、実際に相手としゃべるまでわからない。
最初は同室者の名前なんてわからなかったので、
名前を言われても、なんて言ってるのかわからなかったことも。
でも国際電話もかけられました。

シャワー

相部屋はシャワーがないので、共同シャワーを使う。
2台あるが、空いているときにいつでも使える。
日本の都立病院では、
毎朝シャワー室のスケジュール表に名前を書き込んで、
その時間じゃないとシャワーを浴びられなかった。
でも授乳とか回診とかでうまく時間があくかわからないものだ。
「あいてりゃかってに使え」方式、よかったですね。
そういえば、入院3日目、回診に来た助産婦さんに
「今日はシャワーを浴びたか」と聞かれて浴びてないと言うと、
「なぜ浴びないの?」
「いつから浴びていいのか分からなかったから…」
「もう浴びていいのよ」
というやりとりがあった。
そうだった、フランスでは思ったことはこちらから聞かないと
教えてもらえないのだ。
教えてくれるだろうと思ってると、いつまでも分からない。
相部屋のいい面は、シャワーを浴びに行くなど
部屋を空けるときに、同室者に赤ちゃんを
頼んでいけるところ。

トイレ

部屋に一つあった。
しかし、すごーく音の響くトイレでいやでした…(外に丸聞こえ)。
しかも、入院後半で電気が切れかけて点滅状態。
何度も交換を頼んだのだけど、なかなか替えてくれない。
(私がいる間は替えてくれなかった)
昼はともかく、夜はこれではすごく不便。
産後の私たちはともかく、リリーのように
これからお産を控えている人はトイレが近い。
彼女も夜中に何度も行っていた。
そんな人にあのトイレはひどいんでないかい?

病院食

朝はパン、バター&ジャム、カフェオレか紅茶かショコラ。
(いわゆるコンチネンタルブレックファースト)
昼は前菜、メイン、チーズ、デザート。
おやつにマドレーヌなどのお菓子とヨーグルト。
夜も前菜、メイン、デザートはあったが、昼より軽め。
デザートはフルーツだった。
(昼のデザートはお菓子っぽいものが多かった)
水はペットボトルの大きいのを毎朝くれた。

前日にメニューの確認に来る。
この病院ではメニューは一つなので選べないが、
それでも苦手なものは取り替えてくれる。
やっぱり食事は入院中の最大の楽しみだから、
「よーっく気をつけてメニューを聞くのよ」なんて言われた。
私は特に苦手なものはないのですべて言われたものを頼んだが、
上記のちょっとだけ同室だった妊婦さん、
肉も魚もダメで、それを聞いた係の人、
「それじゃあパスタしかないわよ。昼も夜もパスタ??」なんて困っていた。

めちゃくちゃおいしいってほどでもないけれど、
病院で食べる食事としては十分。
某都立病院の食事とは比べ物にならないくらいおいしかった。
公立という点では変わらないはずなのになあ。

母子同室

希望すれば分娩当日から母子同室にできる。
私は産んだのが夜だったので、当日は預かってもらったが、
次の日からは終日一緒。
だからか?新生児室がない。
預かる場合は沐浴室が臨時新生児室になっているようだった。
赤ちゃんを寝かせるのは日本でもよくあるガラスのベッド。
斜めにもできるタイプ。
いつ授乳したか、うんち、おしっこは出たか、など
やったことを紙に書かされるのも日本と一緒。

授乳

出産してすぐ、母乳かミルクか聞かれる。
母乳の場合でも、最初はなかなか出ないから、
夜はミルクをくれた。
もっとも光はミルクをまったく受け付けなかったが…。
預かってもらう間はもちろんミルク。
日本でポピュラーだった糖水というものは存在しないらしい。
ところが、隣のクレールはミルクを選択したらしく、
夜はもちろん昼もミルクをあげていた。
粉ミルクではなく、液体ミルク。
調乳の手間がない分楽ちん。


↑日本でも果汁入りのビンだったら、
同じタイプのものがあったと思います。
使い捨ての乳首をつけたらすぐ飲めます。
新生児用はなんだかとろっとしていて
コンデンスミルクみたい。

私が夜もらったミルクは2ビンだったが、
彼女は終日ミルクのため、箱でもらっていた。
フランス人は母乳をあげる人が少ないと聞いていたが、
身近で産後すぐミルクを選択している人は初めてだった。
おっぱいって母乳をあげなくても、産後何日かしたら張ってくるんじゃないかな?
そういうときはどうするんだろう?
どうしてミルクを選択したのかな…?
働いていて職場復帰を考えてなのだろうか?
それともおっぱいの形が崩れるから…?
おっぱいが出ないから次善策でミルクにした、というのではない。
何かしらの意思を持ってミルクを選択した彼女の姿を、
そしてそういう選択が出来るフランスという国をうらやましくも思った。
もちろん、私は私で意思を持って母乳を選択した。

退院

家で赤ちゃんをケアするための薬をいろいろもらう。
(実際は処方箋をもらって薬局で買うのだが)
赤チン、ガーゼ、ガーゼを止めるテープ(名づけて「おへそ消毒セット」)。
60度のアルコール
母乳の赤ちゃんはK1シロップ(週一回)。
毎日飲むビタミンD
おへそ消毒セットはへその緒が取れるまで。
取れた後はアルコールに綿棒を浸して
くるっとつけるだけでよいと言われた。
うちは退院して次の日にへその緒が取れてしまったので、
おへそ消毒セットはほとんど使わずじまい。
私にはピルを処方された。

退院時に会計。
公立病院で保険で全額カバーされているので、
分娩入院費用はただ。
個室代、電話代、テレビ利用料は自費。
私の場合は相部屋、テレビなしの部屋だったので、
電話代だけの支払い。
22ユーロほどだった。
部屋に部屋代など諸費用の一覧が貼ってあったが、
もし保険なしで分娩・入院(5日間)すると、
大体20万円ほどかかるようだった。