ちょこっとイギリス

2001年10月6〜7日

イギリスはサウザンプトンで行われる
サッカーの試合を見に行くことにした。
車で行くことは決めていたが、本当に行けるのか?
地図で見るかぎりではアムステルダム~パリ間とあまり変わらない。
アムス~パリを5時間で移動した実績のある我が家は、
車でのイギリス行きを可能と判断した。
(サッカー観戦記はこちらへ)

問題は英仏間に横たわるドーバー海峡。
私はユーロトンネルをくぐればいいじゃない、簡単簡単、
飛行機より車のほうがよっぽど楽じゃな~いと楽観していた。
ところがよく調べてみると、ユーロトンネルは車で走れない。
車ごと乗っかる列車に乗って運ばれていくというのだ。
ユーロスター(英仏間を走る新幹線のようなもの)が走る同じ線路を
車が乗っけられるようなでかい列車が通れるのか?
それって予約要らないの?
本数は多いのか少ないのか?
いくらするんだろう?
ネットで探したものの、
出てきたのは個人の体験談のみ。
予約不要という情報をゲット。
ピーク時には15分おきの出発らしいが、
具体的な時刻表は手に入らない。
ちょっと不安。
フェリーはいくつか航路があるということだが、
何しろ予約が要る。
所要時間約90分。
時間が読めない我が家の行動、
なるべくなら予約不要のほうがよい。

6日土曜日の朝はゆりちゃんのクラスの懇談会があり、
予想以上に時間を取られて、
昼の出発となった。
パリからアミアンを経由して、
ユーロトンネルの入り口のあるカレーに向かう。
北に向かうにつれて雨がちの天気になり、
晴れていても時々さあっと通り雨がある。
パリを出発して約3時間半、カレーに着く。
高速道路からユーロトンネルの入り口は直結。
指示に従って進めば迷わない。
まず入り口で乗車券を買う。
日帰りか否か、人数によって料金は異なる。
我が家は翌日帰り、人数5人で2890フランだった(往復料金)。
実際はポンド建てで金額を言われたのだが。
ポンドへの両替はターミナルに着く直前にあったガソリンスタンドでもできるし、
もちろんターミナル内でもできる。
うちはここでしなかったので後で困った。

ターミナルに入るととたんに英語フランス語併記になる。
イギリスの玄関口なんだと実感できる。
まわりの車もイギリスナンバー多し。
ターミナルの中は広大で、
レストランはもちろん、ショッピングセンターもある。
我が家は早くイギリスに渡ってしまいたかったので、
どこにも寄らずにまっすぐ乗車口に向かう。

パスポートコントロールを通る。
パスポートを見ながら「イギリスに何しに行くの?」と聞かれる。
空港と全く変わらない。
「サッカーを見に行く」と言ったら、「ギリシャの応援か?」と言われた。
(この日はワールドカップ予選でイングランド対ギリシャの試合があった)
日本のナショナルチームの試合を見に行くと聞いて、
「この家族、よくやるよ」ってな感じで係のおじさんに笑われた。
我が家が害のなさそうな顔に見えたのか、
係員はみんな笑顔だし、一様に親切だった。

いよいよユーロトンネル搬送列車「ル・シャトル」に乗り込む。
本当に車ごと列車に吸い込まれていく。



二階建てになっているが、全部埋まるほど混んでいない。
中はだいたい車4台で一両。
車両と車両の間は走行中シャッターが閉まる。
なんとバスも乗れるそうだ。



乗車時間はおよそ30分。
乗車中は車のエンジンを切り、ハンドブレーキをひく。
窓は開けておかないと息苦しい。
空調は一応入っていそうだが、あまり効いていなかった。
タバコ禁止は分かるが、
車内でのトイレ使用、調理も禁止。
キャンピングカーで乗り込む人もいるのだろう。
車のトイレはダメだが、
ちゃんと列車にもトイレがついている。
(上の写真、シルバーの車の右にある扉がトイレ)

30分はあっという間に過ぎた。
イギリス到着。
降りてからまたパスポート見せたりするのかなと思ったが、
列車を降りて前の車に続いて走っているうちに
高速道路に出てしまった。
何もなし。
こんなにあっけなく入国できるなんて意外だった。

まだ明るいうちに到着できたので、
ロンドンを通っていこうということになる。
ユーロトンネルの出口からロンドンまでは2時間ほど。
久しぶりの左車線を左ハンドルで走るダンナ、
慣れなくて怖いらしい。
どうにかロンドンに着き、ロンドンブリッジ、ロンドン塔、
ビッグベン、ウェストミンスター寺院、トラファルガー広場と回る。
この間約2時間。

左よりロンドンブリッジ、ビッグベン、ウェストミンスター寺院。
  

トラファルガー広場では、先ほどのイングランド対ギリシャ戦が終わったらしく、
イングランドのサポーターが気勢をあげていた。



トラファルガー広場近くの駐車場に車をとめ、
歩いてピカデリーサーカスへ。
rainforest cafeで夕食を取る。

車に戻り、サウザンプトンに向かう。
途中イギリスにできたというユニクロ発見。
「バッキンガム宮殿とハロッズを見たかったね」と言っていたら、
沿道に電飾の施された建物登場。
あれはなんだ?と目をこらしたらハロッズだった。
とりあえず主要な観光スポットは回ったことになる。

サウザンプトンで泊まる予定のホテルの入り口が分かりにくくて迷ったが、
夜中近くに無事到着。
みんな泥のように寝る。

7日の日曜日、朝から雨がちのさえない天気。
ホテルをチェックアウトした後、
試合の行われるスタジアムを下見。
日本人でごった返している。
当日券を買うつもりだったが、売りきれそうだったので、
あまりいい席ではなかったが前売りを買っておく。

サウザンプトンは造船で栄えた町らしく、
海辺にはたくさんの船があった。
また街中には1000年前の城壁の跡もあり、
けっこう見どころがありそうだったが、
いかんせんこの天気。
試合開始まで時間をつぶそうとショッピングセンターに行くことにした。
巨大なMARKS&SPENCERがあったのだ。
しかも日曜なのに営業している。
ここだけじゃなくて、街中の店もけっこう開いていた。
中は吹き抜けの3階建てで、
ショッピングも食事もできるようになっていた。
昼時だったのでセルフサービスのレストランに入る。
スタジアムに駐車場がなかったので、
早めに近くの駐車場を確保しようと店を出る。
馨のコートを前から探していたので、
ここでもちょっと見る。
緑色のコートがいいと言うのだが、なかなか見つからないのだ。
しかし、M&Sにて手ごろな緑色のコート発見!
馨も気に入ったのでお買い上げ。
まさかイギリスでゲットできるとは…。

昼過ぎ、天候は荒れていた。
雨風が強まり、止むどころかどんどんひどくなる。
スタジアム隣の駐車場は関係者だけなのか入れなかった。
一本裏の道はとめていいよと言われたのだが、
すでにいっぱいでスペースがない。
ぐるぐる走っているうちにスタジアムの裏手に出た。
どうやらとめられそうだ。
スタジアムに向かう人もたくさん歩いているので、
そんな辺鄙な場所でもなさそう。
みんなびっちり着込んでいざスタジアムを目指す。

試合中はひどい天気だったが、試合終了後、一時雨が止んだ。
試合中こうだったらよかったのになあと思っていたら、
また雨が降り始めた。
試合終了は17時だったので、
最低でも帰途に6時間かかる我が家は
一刻も早くユーロトンネルを通過しなければならない。
ひたすらユーロトンネルの入り口を目指す。
天気はますます悪くなり、
暴風雨が容赦なく車を襲う。
前の車の跳ね上げた水しぶきでフロントガラスが見えなくなる。
あまりの強風でハンドルが取られそうになる。
走っているのに横にずれたのが分かるくらいなのだ。
早く早く、列車に乗ってしまいたい。
この悪天候に加えて道は大渋滞。
しかもみんな車線も制限速度も守るものだから、
そんなものあってなきがごとしのフランス車社会に
慣れてしまった私たちはイライラ。
ようやく着いたターミナル、21時6分発にすべり込む。
(もしかしたら終電だったかも)
パスポートコントロールには「ここからフランス」の看板。
フランスのパスポートコントロールにも
同じような「ここからイギリス」看板があったに違いない。
だから行きもイギリスに着いたときはノーチェックだったのか。
大陸で地続きの国に行くときのように、
通過する一点でチェックすれば終わりなのだと分かる。

フランスに着き、高速脇のカフェテリアで遅い晩御飯。
まだまだ先は長い。
と思っていたが、2時間後の午前2時、我が家に到着。
往復1200キロのかけ足旅行だった。