オランダでチューリップ

2002年4月25〜27日

〜チューリップの季節、侮り難し〜

本当はもう一週間早く行くつもりだった。
「つもり」だっただけで、ホテルが取れていたわけではない。
いつもホテルを取るのは行く一週間前なのである。
今回もそうするつもりだったのだが、
いざホテルを取ろうとしたら、どこも取れない!満室!
よーく考えたら、チューリップのピーク時期に
空いているホテルがあると思うほうが間違っていたのだった。
かなり努力したが、とうとう取れなかったので、
行くのを一週間延長したのだった。
これで取れなかったら一年延期するところだったが、
その事態だけは免れた。

~教訓~
ベストシーズンのオランダ観光は早めに計画を立てましょう。


私はオランダに10~2月までの4ヶ月しか
いなかったので(「オランダ日記」を参照のこと)、
オランダの春を知らない。
春を知っている友人や夏を経験したダンナには
「一番いい季節だよ~」とさんざん聞かされてはいたものの、
実感が湧かない。
今回は私の偏ったオランダ観を払拭するチャンスでもあった。

行く直前、フランスは急に暖かくなった。
オランダはフランスよりは寒いだろうが、
そんなに大差ないだろうと侮って行った。
これがまさか裏目に出ようとは…。

オランダでも菜の花が真っ盛り。
しかしフランスと違って、道路に沿って植え込みのように咲いている。
さしづめ沿道にチューリップなどを植えるのと同じ感覚。
従ってあまり密集して生えていない。
だからフランスのように黄色いじゅうたんにはならない。
お国柄の違いを感じた。

第一日目、オランダには夕方着いたが、
フランスと同じくサマータイムで昼が長くなっている。
当然夜もなかなか暗くならない。
「オランダもこんなに昼が長いんだー」と感動しながら、
行きつけだった中華料理店に行く。
お店の人はみんな覚えていてくれて、
再会を喜び合う。
ここの中華は今まで食べた中で一番おいしい。
久しぶりの味を満喫。
夜10時過ぎに店を出ても、
外はまだほのかに薄明るかった。

オランダに一年以上ぶりに来て気がついたこと。

・お年寄りが乗っている電動三輪車?が当たり前。
(足の不自由なお年寄りの足代わり。フランスでは見かけない)
・トイレの穴が真ん中ではなく手前にある。
・ストローが細い。
(もちろん普通のもあるのだけど、
「これで吸えるの?」というくらい細ーいのがよく出てくる)

第二日目、いよいよ念願のキューケンホフ公園へ。
しかし天気が怪しい…。
曇天の下、キューケンホフに向かう。
行く途中、オランダのイメージどおりの
チューリップ畑がたくさん出てきた。

  

まだまだきれいだったが、
少し時期を過ぎてしまったのだろうか、
もう花が摘み取られたあとで葉っぱしかない畑も多数。
目の前で花を摘み取っている場面にも遭遇。
花を摘む機械があってそれで摘んでいるところもあれば、
手作業で一つ一つ摘んでいるところもある。
花の最盛期に取ってしまうというのは本当だった。
そして取った花は畑のはしっこに無造作に積んである。
あれはその後どうなるのだろう?
また、花が終わっても放りっぱなしの畑もあり、
本当にさまざま。
チューリップを見るには日本のゴールデンウィーク前までと
聞いていたが、それは
「チューリップ畑も見るのだったら」ということだろう。

さて、キューケンホフに着いた頃にはやはり雨が。
しかも時折雨足が強まる始末。
オランダの天気は変わりやすいので、
この天気がいつまでも続くとは思えなかったが、
ゆりちゃんがもう寒くてギブアップ。
昼時だったので、一度昼食を食べてから、
天気が好転すれば出直すことにした。

結局天気は好転しなかったが、
先ほどより雨が弱まったので、再度キューケンホフへ。
今度はお腹もいっぱいになったからか、
雨が降っていても子供たちは文句を言わなかった。
また木が多いので、木陰に入ると、
雨は思ったより気にならなかった。
これもちょっと雨足が強まると意味なかったのだが…

キューケンホフ公園は今年は3月21日~5月18日の限定開園。
料金は大人11ユーロ、子供4歳から5.5ユーロ。
駐車場3.5ユーロ。
駐車場といってもただの野っぱら。
入るとすぐチューリップのオンパレード。
チューリップだけではなく、
ヒヤシンス、水仙、ムスカリ、つつじ、桜も。
それも物珍しい品種が多い。

  

いくつか室内展示もあり、テーマ別になっている。
ベゴニアあり、アルストロメリアあり。

日本で買うと超お高いアルストロメリアがてんこもり。


こちらはフラワーアレンジメント的な、
作られた感じの作品が多かった。
それに比べて屋外はひたすら多品種を鑑賞できる。
「盆栽館」もあったのだが、時間が遅くて見られなかった。
キューケンホフのチューリップはまだまだ花のピークだった。

上段中、一番のお気に入りの薄いピンクのチューリップ。
下段左、赤に近いピンクのヒヤシンス、
右ふたつは水仙、中のラッパ部分がこんなにオレンジの濃いもの、
全部が白くて八重咲きっぽいものはあまり見かけないですよね。
  

  

しかし雨はとうとう降り止まず、ますます激しくなり、
びしょびしょになりながら歩き回る。
寒い。

~教訓その2~
チューリップ観光時は天候の変化に備え、
フードつきの防水加工済パーカー必携。
防寒対策もしっかりと。
春といえどもオランダは寒いです。


夜は行きつけのお店再訪ツアー第二弾。
焼き鳥屋さん。
フランスではなぜかあまりお目にかからない焼き鳥屋さん、
ここもなかなかおいしいところなのだ。
フランスの日本食店は高いところはそれなりにおいしいが、
そこそこの値段でおいしいものを食べられるところが少ない。
第一ご飯が違うのだ。
昨日の中華もこの焼き鳥屋さんも
ご飯がとてもおいしい。
フランスではお寿司屋さんの場合、
寿司飯に使うご飯には気を遣っているものの、
白飯を頼むと「これが同じご飯??」と思うような
質の違うお米を使っていることが多い。

第三日目、何をしようか?
キューケンホフも中華も行ってしまったので、
特にやりたいことが残っていない。
天気が不安定だったので迷ったが、
しばらくして晴れてきたので、
オランダで行われている、10年に一度という花博、
「フロリアーデ」に行くことにする。
その前にオランダにいた頃住んでいた家を見に行く。
近づくにつれて、私たちがいた頃は
このへん一帯雪だったんだよねえ、と
なんだか感慨深かった。
今ではすっかり緑の草におおわれていた。
以前の家には今は新しい住人が住んでいる。
偶然隣家の友人に出会え、しばし歓談。
滞在時買い物で通っていた道でゆりちゃんと馨は自転車に乗る。
自転車専用道路のあるオランダでは
自動車を気にせず思いっきり乗れる。

チューリップの球根が欲しくていろいろ探すが、
キューケンホフ近くの出店でも見つからず、
園芸センターで「9月にならないと出ないわよ」と教えてもらう。
しょうがないので切花を買う。
50本の束で10ユーロ。

さて「フロリアーデ」に向かうが、
大きな標識がないのでなかなかたどり着けない。
昼食時を逃したので、スーパーで買い物して車中食。
思いがけずオランダ名物「ハーリングブローチェ」
(にしんサンドイッチ)を味わうことができた。
「フロリアーデ」の駐車場はもっともっと観光客が来ることを想定してか、
広大な敷地を持っていたが、
実際に埋まっているのはその半分というところ。
入場料は大人17ユーロ、子供4歳から8.5ユーロ。
駐車場は7ユーロ。
中もとにかく広大。
もちろん歩いて移動してもいいのだが、
高速道路をまたがって二方向に広がっているので、
高速の向こうとこっちは連絡電車で移動できる。
これは一人1.5ユーロ。ただし行きのみ。
帰りも乗りたい場合は帰りも新たに1.5ユーロ払う。
子供の年齢を聞かれて素直に申告したのだが、
ゆりちゃんは5歳に見えないということでただにしてくれた。

各ブロックでテーマがあったり、
世界の各地域の特色ある展示があったりするのだが、
まだ作っている途中?と思われるところも多々あり、
10月20日まで開催しているとのことなので、
夏休みにピークを持ってくるつもりなのか?と疑いたくなる。
さらに外の植え込みは世界の(と言ってもほとんどオランダだったが)
園芸店がスペースをもらって自慢の花や植物を植えているらしい。
時々「お~、きれいだ!」と思うところもあったが、

  

全体的に広すぎてちょっと散漫な感じ。
同じ花を見るのなら、キューケンホフの方がまとまっている。
また、雨は降らなかったものの、
風が強くてとても寒く感じる。
今さらながらに思い出したが、オランダは風の国。
~教訓その2~が再び頭をよぎる。

夕方着いたので、ほとんど見られないうちに閉場時間。
帰りは電車に乗らずにぶらぶら歩きながら出口に向かう。
着いたときは見ずに通り過ぎた入り口近くのパビリオンは
アジアの国ごとのブースのある展示館で、
花もきれいで面白かった。
一番広いスペースを占めていたつつじのブース、
日本っぽかったけれど「日本」の表示はなかった。

手前がつつじ、その後ろが藤、さらに後ろが桜。


帰りは閉場時間を過ぎていたからか、
駐車場を出るときは駐車券のチェックがなく、
フリーだった。
7ユーロも払ったのに…とダンナはぼやいていた。

山のないオランダのどこまでも続く空と雲を見ながら
オランダをあとにする。
フランスも空が広いと思っていたけれど、
やっぱりオランダの方が広いかな。
ヨーロッパにいる間にもう一度オランダに来ることが
あるだろうか。