オーヴェル・シュル・オワーズ

AUVERS SUR OISE

ゴッホ終焉の地として知られるオーヴェル・シュル・オワーズには、
前からダンナが行きたがっていた。
寒い間はどうしても外を歩くのがおっくうだったが、
ようやく暖かくなってきたので出かけることになった。

我が家から一時間で着く。
小さな町の家並みはゴッホの絵に出てくるようなものばかり。

  
左の景色を描いたのが右の絵。
中央の曲がりくねった階段道がわかりますか?

おなかが空いていたのでゴッホが住んでいた家の一階にあるレストラン
(Auberge Ravoux、すぐわかります)に行ってみたが、
同じことを考える人は多いのだろう、満員で入れなかった。
(店の入り口案内プレートには日本語まであった)
ゴッホの住んでいた二階部分は現在資料館になっている。

食事でいきなりこけたので、他のカフェに入り、
そのままノートルダム教会に向かう。
ゴッホの絵のモデルになった教会だ。



  
夕方逆光で暗いけど、絵と同じ向きの教会。

こじんまりした教会だが、町のどこからでも見えるシンボル的存在。
教会内はステンドグラスの色が太陽の光で壁に映し出されているが、
幻想的というよりのどか。
ぽかぽか暖かいし、人も少ないし、
教会内にミサ曲も流れていないからか?

その教会からほど近いところに
ゴッホと弟のテオが眠っている墓地がある。
思ったより広い墓地で、もちろん一般の人もたくさん眠っている。
案内図があるのでお墓の場所はすぐわかった。
フランスで墓地に入るのは初めてだったが、
ゴッホのように一面つたに覆われたもの、



墓石(土葬だから?等身大の墓石が寝かされたような感じ)の上に
生前の友人や家族が贈ったであろう石のプレートや
色とりどりの鉢植え型の造花が置かれているもの、
(もちろん生花もあるが、造花の方が多い。
色が褪せないからでしょう)など。
墓石を寝かせているので視界が広いこと、
色とりどりの花のおかげで
墓地にいることを忘れそうなくらい華やかだった。
墓地の写真を撮りたかったが、ちょっと無粋かと遠慮。

ゴッホのお墓の裏は一面の麦畑。
こんな麦畑を見ながら絵を描いたのかな?



まだ背の低い麦だったが、
これからも麦の穂波のざわめきを聞きながら
ゴッホはここで眠り続けるのだろう。
なんだか涙が出そうだった。
親戚でも知り合いでもないのに…。

さてゴッホの思いに触れたあとはオーヴェル城へ。
印象派の画家たちが生きた時代と風俗を体感できる。
入場料大人10ユーロ、6歳未満の子供はただ。
数ヶ国語の解説オーディオ(無料)が用意されており、
日本語版もあったのでそれを借りた。
当時の生活の様子、服装、風刺画、カフェ、駅や汽車の中など、
まるでタイムスリップしたみたいだ。
カフェや駅なんかは今とあんまり変わらないな。
最後に出てきた海辺でのバカンスの様子、
まるで映画『ベニスに死す』そのものだった。
城内は階段が多く、しかもしょっちゅう登ったり降りたりする。
ベビーカーでの入館は可能だが、
抱えての昇り降りの覚悟が必要。

徒歩でも十分歩ける広さの町。
暖かな春の一日、のんびり散策するには最適。