民族音楽の夕べ

ハンガリーでは大好きなジプシー音楽を聴きに行きたいと思っていた。
しかしウィーンでの轍は踏みたくない。
ホテルにあったパンフレットを熟読。
日によって演奏会場が違うという。
…十分怪しい…。
それでも予約を取ってみる。

さて、ただでさえ少ないハンガリー滞在だったのに、
プールで予想以上に時間を費やしてしまったため、
使える時間はあまりない。
なのに、まだブダペスト観光してない…。
これじゃプールに入りに来ただけになってしまうので、
慌てて王宮に登ってみる。
王宮は丘の上にあるので、ケーブルカーで登る。
もちろんえっちらおっちら自分の足で登ることもできる。
王宮は重厚なものだった。
いかんせん時間のない我が家、
外から眺めて、ハイ、王宮見学終わり。
いいのか、こんなんで。
丘の上からのドナウ川の眺めは素晴らしかった。
とりあえずブダペストと言えばここ、という感じの
漁夫の砦は見ておかなくちゃ、とそちらへ向かう。
丘の上は王宮だけでなく、こじんまりとした町になっていて、
散策にはぴったり。
観光客もたくさんいた。
しかし、この日はとにかく暑かった。
漁夫の砦の手前でお子様たちギブアップ。
しょうがないので近くにあった地元スーパーに入り、
水などを買ったが、ふとそこにスイカが!
…ええ、買いましたとも。
覚えたてのハンガリー語を使ってみたけど通じなくってさ。
でもスーパーのおばちゃんは
スイカを買う異国の観光客にとても親切でした。
目の前の公園でスイカを食べる。
ああ、私たちは一体ハンガリーに何をしに来たのか。
そろそろ時間切れ。
コンサート会場に向かわねばならない。
目の前にウィーンのシュテファン寺院と同じような
モザイク柄の屋根の見事な教会があったので、
中をのぞきに行く。



ちょうど金管アンサンブルのコンサートが
始まるところだった。
教会で金管アンサンブルなんて素敵だ!!
しかし見てる暇はない。
そこから漁夫の砦を通ってコンサート会場に向かう。
漁夫の砦もゆっくり味わっている暇がない。
でも下から眺めた様子はなかなか素敵でした。

左が漁夫の砦、右は上と同じ


街中を突っ切る形で最短距離を行く。
この辺なんだけど?というあたりに教会があったので、
ここか?と思ったが違う。
そのあたりはアパートなんだか企業のオフィスなんだか分からないが、
四角い建物ばかりで見分けがつかない。
ウィーンの悪夢がよぎる頃、
大型バスが乗りつけて人が吸い込まれていく建物発見。
寂れたところに建っている建物だがどうやら間違いなさそうだ。
チケットを受け取り中に入ると、
一昔前の学校の講堂という感じ。
座席指定なのがちょっと不安。
(お子様が泣いたりぐずったりしたらどうやって外に出ようか?)

コンサートが始まった。
楽器の演奏(合奏も含む)と民族ダンスを交互にやる。
演奏の方はすっごくうまいツィンバロンのおじさんを除けば
まあこんなもん?というレベル。

っつーか、ほとんどツィンバロンおじさんの独演会。
「内山田弘とクールファイブ」ならぬ「ツィンバロンおじさんとその他大勢」。
写真右のビオラおじさんは絶対後打ちが遅れない、隠れた名手。



しかしツィンバロンって日頃めったに見かけないのに、
このコンサートではまるでピアノ代わりに使われている。
どの曲にもツィンバロンが入っているくらいだ。
ピアノよりは持ち運びが便利そうだが、
何しろ弦を叩いて音を出すのだから、
ピアノより難しそうな気がするが。
コンサートは有名なハンガリー舞曲や
全然知らない民族音楽などおりまぜて進んでいく。
一方のダンスは目にも鮮やかでおもしろかった。

 

ハンガリーのダンスの特徴はどうやら「かかと」にあるらしい。
やたらとかかとを手で叩いたり、鳴らしたりする。
男性の服装は昔の兵隊さん風、
女性はいかにもという感じの民族衣装。
ちょっとチロル風でもある。
短い旋律を何度も繰り返しながら踊るのは
どこの国でも共通ですね。
子供たちも音楽はつまらなかったが
ダンスはおもしろかったそうだ。
子供の感覚はとても素直なものだ。

コンサートが終了してまわりのお客さんから
「小さいのによくおとなしくしていたね~」とほめてもらった。