ベビーカー事件

旅行には二人乗りベビーカーを持っていった。
ナタリーから借りているのだけど、
旅行には別に買って持っていった。
「万が一壊しちゃったらまずいから」というのが理由だが、
これが効を奏した、と言うのだろうか…?

最初は快調だった。
うちには勝手にどこかに行ってしまう、
まるで言うことを聞かない小悪魔(2歳)が若干一名いるので、
まだねんねの光とともにベビーカーは欠かせない。
しかし、イタリアはあまりにも石畳が多かった。
ある夜のフィレンツェで、ベビーカーの車輪が取れてしまった。
ウフィツィの予約を取った前の晩だ。
これから美術館三昧しようとしているところで
最も重要な小道具のベビーカーが壊れるか?

次の日からベビーカーとの戦いが始まった。
最初はだましだまし車輪を支えながら歩く。
時折はずれそうになる(もしくははずれてしまう)車輪を
足で押さえながら歩く。
さらに悪いことにフィレンツェは毎日雨だった。
いろいろと工夫もしてみた。
車輪の軸にいろいろ巻いてみたりもしたが効果なし。
最後の方は午前中ならベビーカーを出さず、
抱っこでしのいだこともあった。

ふとイタリアのベビーカーを見たら、
どれもこれもすごく頑丈にできている。
足回りはもとより、椅子の部分も骨組が多い。
やっぱりイタリアの石畳でベビーカーは痛みやすいのだ。

面白いこともあった。
うちは縦に二人並ぶタイプの二人乗りベビーカーなのだが、
イタリアでは皆無だった。
まさかイタリアでは双子や年子がいないわけではないだろうが、
少なくとも私たちの行った先では見かけなかった。
当然イタリア人にとってもこのベビーカーが珍しいらしく、
どこに行っても注目の的。
もともと子供好きで好奇心旺盛なイタリア人に
覗き込まれ、「かわいい~!」と言われ、大騒ぎ。
最後の晩餐」を見に行ったサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会では、
待合室で待っていたら係員の人が「かわいい~」と覗き込み、
その場で「マッシモ!マッシモ!」と他の係員を呼び、
客のベビーカーを見せびらかしていた。
フランスではごく普通のベビーカーなんだけどなあ。
二人乗りどころか三人乗りだってあるくらいだし。
うちがオランダで使っていた横に並ぶベビーカーの方が
フランスでは珍しがられる(もっともオランダでも珍しかったが)。
それはフランスの歩道が狭くて横並びでは不便だからだけど、
ところ変わればベビーカー事情も変わるんだなと
あらためて思ったのだった。