旧市街で道に迷う

フィレンツェから次の宿泊地、ジェノバに向かう。
最初はパルマに寄って
パルマハムとパルミジャーノレッジャーノチーズをしこたま買い込む予定だった。
しかしガイドを見てルッカに行くことに変更。
上空から写したルッカの旧市街がとてもきれいだったからだ。

フィレンツェを出たのが3時だったので、
いくら近いと言えどもルッカに着いたのはすでに夕方。
しかもお子様が揃って寝てしまっていた。
しょうがないのでダンナと交代に行くことにする。
途中でルッカの地図が買えなかったので、
グリーンのミシュランガイドに出ている地図を頼りに行く。

「見どころをざっと回っても、まあ一時間くらいで戻ってこられるよ」
と送り出される。
「暗くならないうちに帰ってくるように」と一言クギをさされて…。
地図を見る限りでは狭い町だし、道もそんなに複雑そうではない。
まずは一番手近な大聖堂に向かう。



裏手に出たので、ぐるりと正面に回ると、
おじいさんおばあさんの団体。
お年よりの日帰り旅行好適地なのか?
時間がないのでガイドに出ている見どころだけを見るつもりだが、
そうではない無名な教会などもけっこう味があって興味をそそられる。
そこかしこにある店をのぞきながらぶらぶら歩く。

ファサードがきれいだというサン・ミケーレ・イン・フォロ教会へ。
この教会のふもとの広場にはカフェもあって、
けっこうな盛り上がりを見せている。
このへんが町の中心部?



そのままだ円形の広場を探しながら歩く。
だんだんにぎやかになってきて、人通りも増えてくる。
いつのまにかものすごい混雑した通りに出ていた。
グイニージ通りだ。
どうやらここが目抜き通りらしい。
両側にはブランドショップを始め多数の店が並ぶ。
この先に目指す広場があるらしいのだが、
いったい今どのへんを歩いているのだ?
やばくなってきた。
そろそろイルミネーションの光が鮮やかになってくる時間だ。
すると、道のすぐ脇に小さなトンネルが出てきた。
そこをくぐったら、ようやくアンフィテアトロ広場にたどり着いた。



広くない広場をぐるりと一周して、
さあ帰ろうと思ったが、あれ?どっちが帰る方向?
丸いから方向が分からない。
とりあえず最初に入ったところからもとのグイニージ通りに戻る。
地図で車を止めている場所を確認し、
そこから近いモニュメントを探す。
そのモニュメントの場所を示す看板を頼りに歩き出す。
しばらく歩いたが、モニュメントが出てこない。
おかしいなと思って左に曲がってみる。
いつの間にかまたグイニージ通りに戻っている。
タヌキかキツネにばかされた気分。
道の名前をよく確認し、帰る方向にある道を選んで歩いてみる。
今度は大丈夫そうだ。
駐車場の標識も出てきた。
ちょっとのぞいたら違う駐車場だったので、そのまままっすぐ歩く。
そうしたら、町の城壁に出てしまった。
ここは町のはじっこ。また間違ったか。
元に戻る。
通り過ぎた駐車場の中に入ってみるが、やっぱり違う。
あせる。
あたりはすでに真っ暗。
2時間は経過しているだろうか。
どきどきしながら今来た道を戻り、
その辺にいたおじさんをひっつかまえて「ここはどこか?」と聞く。
おじさんはだいぶ悩んだ末地図の中を指さした。
だいぶ通り過ぎてしまったようだ。
もっともっと戻る。

もはや店をのぞく余裕なんかない。
いったいここはどこ?
地図に出ている川なんかどこにもないぞ。
歩いていたらバスが通っていった。
観光バスではない、普通の路線バスだ。
路線バスが通る道なら、ある程度主要な道なのでは?
そう思ってついて行く。
そうしているうちに見慣れた建物が。
ああ、車をとめた駐車場だ。
心底ほっとした。

私が出かけてからすぐ皆起きてしまい、
ダンナは大変な思いをして待っていたようだった。
道に迷った話をしたら、
「迷わないわけないと思っていたんだ~」だって。
パリですら一人歩きをしたことのない私、
見知らぬ土地で一人歩き、しかも迷子なんて
すっごく怖かったのに。
それにしても旧市街といわれるところは、
町並みは風情あってよいが、
道はくねくね曲がりくねっていて、わかりにくい。
地図があっても頼りにならない(のは私だけか)。