海と太陽

ナポリ滞在中の一日、カプリ島に行ってみる。
折悪しくもその日は12月25日。
声を大にして言いたい。
宗教熱心な国では宗教の祝日に行動してはいけない。
ものすごく不便だからだ。

ナポリの港前の駐車場で
「今日は13時までよ」と追い返されたこと以外は
何もかも普通だった。
カプリに渡る船の時間も平常どおりだったし、「ちゃんと」渡れた。
我が家は最初から青の洞窟はあきらめていたので、
カプリ到着がすでに13時。
当然のことながら青の洞窟行きの船着場もしまっていた。
これが午後だからなのか祝日だからなのかは定かではない。
昼食を食べていなかったので船着場の目の前の軽食レストランに直行。
パニーニやピザを食す。
うちが帰る頃入れ違いにやってきた客、
閉店と言われて冷たく追い返される。
あとでらんちゃんがトイレに行きたくなってこのレストランに戻って頼むが、
「もう電気も落としちゃうけど…」と嫌がるのを
無理やり頼んで入れてもらったくらいだ。
店員さんたち、本当にさっさと帰る。
そんなのはフランスじゃ別に珍しい光景じゃないんだけど、
こと人情的なイタリアでこの光景にはびっくり。

レストランが閉まったら本当に閑散としてしまった船着場前。
どこもこんななのか?と不安にかられながらタクシーを待つ。
タクシーも2台しかなくて交互に運転している模様。
ようやく乗ったタクシーの運ちゃんがカプリ島の解説。
島そのものの解説よりもおもしろかったのは
「今日はみんな6時から13時まで働いたら家に帰る」
というのだった。
なるほど~!今日はそういう日なのか。
だからナポリの駐車場も13時までだったのか!
「公共の乗り物はみんなそう。
タクシーは一日中動いているけどね」
やはりクリスマスは家族で過ごす日らしい。

カプリ島の中心地に着く。
もちろん閑散としている。
気の向くままに散策する。
途中高級ブランドショップ街などがあり、
ここもまた高級リゾートなんだと実感する。
(もちろん全部閉まっているが)
ブランドショップ街のはじっこまで来たか?というところで、
他の団体さんと一緒になる。
みんな細い路地を入っていく。
何があるんだろう?とついていく私たち。

路地はだんだん山を登っていった。
所々にある高級リゾートホテル。
皆閉まっているが、立地からして夏に来たら
本当によさそうなところばかり。
そして冬なのにブーゲンビリアが咲いてる。



南国だあ~。
そしてもちろんミカンとレモンの木も。
日差しも小春日和といった感じで柔らかい。
楽しい散歩となる。

行き着いたところは高台の展望台。
でも岩場の感じといい、松が植わっていたりするところといい、
なんだか日本にいるみたい。
妙に懐かしい風景なのだった。

空も海も同じ色
   

夕方の帰りの船に向けて港に行く。
日中は暖かかったが、日が落ちるとやはり寒い。
我が家の乗る船はナポリ行き最終便17時50分。
行きに往復切符を買っておいたのだ。
島にいる間は気がつかなかったが、団体さんがけっこういた。
そのうち目の前に船がやってきて、「これに乗るんだな」と思っていた。
ところが。
いつになっても乗れる気配がない。
一体いつになったら乗せてくれるの~と思っていた頃、
「あなたたちはグループか?」と聞かれ、
つい「はい」と答えた私。
だって私たち、6人いるんだもの、グループじゃないですか。
そうしたら、その船ったらなんと乗客を乗せないというではないか。
もちろんぶーぶー言う。
が、乗せないものは乗せないので、
しょうがないので船着場のチケット売り場にかけあう。
売り場のおばあちゃんは「船に問題があるから乗れないのよ」と言っていたが、
果たして本当なのか…?
隣に大きなフェリーが来たので、
これに乗ったらナポリに帰れるのかと聞いたが、
ソレント行きだということ。
団体さんはそちらに乗っていった。
ソレントにバスを回したりして融通しているんだろう。
とばっちりを食らったのは個人客だ。
ナポリ行きはなんと20時に来ると言う。
それまでどうしろというのか!
今日はクリスマスでどこもみんな閉まってるというのに!!
すると船着場前に一軒だけ開いているカフェがあるというので
行ってみると当然ながらみんなそこに集結していてすごい混雑。
暖を取れるだけましか。
しかしながら、みんなとばっちりを食らった連帯感があるのか、
妙に一体感のあるのがおかしかった。
ゆりちゃんたちは一緒になった韓国人旅行者と仲良くなり、
帰りのフェリーの中でもずっと一緒に遊んでいた。

***

ブリンディシに向かう途中は
一面のみかん畑、老木のオリーブ畑。
今までオリーブの木はギリシャで見たような
痩せた土地に映えているようなのしか見たことがなかったが、
南イタリアで見た古いオリーブの木(かなり年数が経っていると思う)は
節くれだっていて幹がすごく太い。
それはそれは堂々としているものだ。
そしてみかん畑の向うに見えるのは憧れのアドリア海!
一筋の青い層が見えたときはそれはそれは感動でした。
ドライブに飽きている子供たちに
「ほらっ、ポルコ(「紅の豚」)のいる海だよっ。
赤い飛行機を探してごらん」と言うと、
子供たちも大喜びで探し、
これでけっこう時間が稼げたのだった。



***

「マテーラ」とホテルには名前がついているものの、
実際の場所はメタポントという、マテーラから
100キロも離れた町に泊まったときは
イオニア海の海岸で砂遊び。
冬だからだーれもいない。
砂浜につく足跡は自分のものだけ。
よーく見ると千鳥の足跡が!!!
ここは海岸が広くて、地平線が丸いのがわかります。
あああ~夏に来てみたいなあ~。