ニッポンビザ取り紀行

04/04/2001~15/04/2001

★下痢Pの馨

出発の3日前になって、

ゆりちゃんはおしっこの我慢のし過ぎでトイレが近いし、
馨はなんと下痢Pになってしまった。
小児科にかかり薬を飲ませるも効き目なし。
機内で下痢Pなんて最悪の展開だ。
とにかく機内持ち込み荷物につめられるだけオムツをつめる。

★トルシエ監督に会う

出発当日、シャルルドゴール空港でチェックインを済ませ、
免税店でぶらぶらしていたら、ダンナの隣でネクタイを見ている人、
どこかで見たことが…。
あああああ!トルシエ監督だ!
すっかり舞い上がった我が家、やっとの思いで
「ボンジュール、ムッシュトルシエ」と言える。
こういう場面には慣れているのだろう、すぐ握手してくれた。
なんてラッキー。
あとから考えてみれば、Bon courageくらい言えたかも、
いやいや、フランス語にこだわらず英語でもよかったんじゃないかと
いろいろ思ったのだけど、その場ではこれが精一杯。
案外みんな気がついていなかったようだ。

★ついにビザゲット

ビザ申請用の写真を、私と子供の分だけ事前に撮っておいたのだが、
大バカな私はそれをフランスに忘れてきてしまったのだ。
まあそれがないと何しに日本に帰ってきたんだか…というものではなかったけど、
せっかく時間短縮のために汗だくになって撮ったのに…。
申請に行ったのは金曜日。
受け取りを次の週の金曜日という想定で組んだ日程だ。
受付は9~12時なので、何がなんでも12時までにもぐりこまねば。
しかし朝っぱらから開いている写真屋を探すのに手間取る。
やっと見つかるも、ポラロイドカメラの調子が悪く、
何度も撮り直す羽目に。
ようやく写真がそろい、大使館に車を飛ばす。
着いたのは11時45分だった。

申請書は当初ダンナ一人でビザを取りに来る予定だったので、
私が日本を出る前(つまりオランダに出発する前)にすでにもらってあった。
書き方例も写してきた(フランス語で書くのだ)のだけど、
どうしても書き方の分からないところが数箇所。
しょうがないので窓口で聞こうと空欄のまま持って来た。
前に来たときは日本人のお姉ちゃんが窓口だったが、
今回はなぜかどう見てもフランス人のおっちゃんだ。
前に並んでいるお兄ちゃんは流暢なフランス語で
あれこれ書類を見せながらしゃべっている。
けっこう難関か?

うちの番が回ってきた。
何だ、英語が通じた。
名前を言って「ビザが出たって聞いたんだけど」と言ったら、
もうそれでわかってもらえた。
申請書と写真を出したら、ホチキスで(!)写真をとめてる。
そしてなぜか子供の写真をもう一組出すよう言われる。
これだからフランス大使館ってやつは!
前に聞きに来たときは「大人は4枚、子供は1枚」と言われたのに、
結局大人1枚、子供2枚になった。
わざわざ大人は2枚一組の写真を二組作ったのに…。
子供の写真を2枚持っていてよかったと思うべきなのか。
申請書の未記入の部分は…と思ったが、
ダンナが「下手に話して面倒なことになると困るから黙っていよう」と言う。
結局そのまま受理されてしまった。
もういいもんね、もしトラブルになったらその場でチェックしなかった
おっちゃんが悪いと言ってやろと思う。

ここまでおっちゃんとのやり取りは非常に和やか。
「今窓口の子はハワイでバカンス中でねえ、それで私がやってるんですよ」
なんて言っていたらしい(私は聞いてなかった)。
さて受け取れる日だが「月曜日」と言う。
月曜日?まさか来週じゃないよねえ?再来週?
だったら滞在期間を延長しなくちゃ。だって日曜日に帰るんだもの。
何度も聞き返したが、9日の月曜日だと言う。
誰だ!一週間もかかると言ったのは!
これも思ったより早く受け取れるからよかったと思うべきか?
(だんだん思考がフランス的になっているような気がする)
すっかり力の抜けた私たちだった。
むろんダンナも月曜になんか受け取りに行かず、木曜に行ったそうだ。
何の問題もなく無事ビザをゲットできた。
あー、今までの苦労ってなんだったのだろう?
ビザは紙切れ一枚をぺらっとパスポートにはっつけてあるだけ。
「ハンコ一つよりはいいんじゃない?」とはダンナの言葉だが、
あんなに神経をとがらして気にしてきたものはこれだったのか。

この日子供たちもいっしょに行ったのだが、
下痢P馨は着いて早々下痢してしまい、
申請室はぷーんと臭い匂いが漂っていた。
フランス大使館よ、ごめん!!
でもちょっと恨みを晴らしたみたいで嬉しかったぞ。
私たちのあとにずらっと並んでいた人には
悪いことしちゃったけど。

★久々Jリーグ観戦、しかし

ビザのめどが立ち、急にやる気が出てきた我が家、
久々のマリノス戦が横浜で見られるというので、
昼間我が家の帰国にあわせて食事会をしてくれた友人O氏を引き連れ、
横浜国際競技場へ。
夜の試合だが、ずいぶん暖かくなって観戦しやすい。
レッズ相手にがんばったのだけど、負けてしまった。
せっかくフランスからはるばる見に来たというのに、
いつになったら勝てるのだ、マリノス~~~!!

★突然フランス語をしゃべるゆりちゃん

日本に行く直前から「cou cou!」と言うことがあった。
しかし滞在中突然「あんどぅとわきゃるさんしす!」と叫ぶ。
これくらいなら私もわかる。フランス語で「1、2、3、4、5、6」だ。
幼稚園で教わってきたらしい。
最初はあんなに嫌がっていた幼稚園なのに、
だんだん自分の居場所を見つけているらしい。
嬉しいような不安なような。
これから逆に日本語力の維持・向上も考えなければ。

★日本での収穫物

もともとこの日本行きは、ゆりちゃんが「ピカチュウカレーが欲しい」というので
実現したようなものだった。
私は特に欲しいものもなくて、
せいぜいフランスで買うと多少お高い日本の本を数冊買っておくかという程度。
それも、もし買えなかったらいいやフランスで買うから、くらいいいかげんなもの。
ダンナは物欲が刺激されたのか、いろいろ買い込んでいた。
母が気を利かせてカレールウを買ってくれた。
そういえばフランスではカレーを食べたくてもどこで売っているのか分からず
食べられないのだった。
オランダでは何種類かあって、タイカレーのペーストを買ったりしていたが、
なぜフランスにはないのだろう?
ペーストを使うのは邪道なのか?自分で香辛料を混ぜないとならないのか?
それとも近所のスーパーがしょうもないだけなのか?
結局カレールウのほかにゆりちゃんリクエストのピカチュウカレーも買い、
なんだかカレーだらけになった。
あとは同じくゆりちゃんリクエストのピカチュウお茶漬け。
うちは炊いたお米ではなく、スーパーに売ってる10分ゆでてお湯を切る
長粒米にこのお茶漬けをかけるとお子様はよく食べるのだ。
帰る直前にはかねてより懸念だったビデオカメラを購入。
ダンナ父からはデジカメももらい、
すごくうれしいけど入国のとき引っかからないかちょっと心配。
あと収穫と言えばミニモニ。でしょう。
私の実家でビデオを見てゆりちゃんが開眼。
歌い踊りまくっていました。
日本の今を見た感じがしました。

★帰りの成田空港

フランスへ帰る飛行機が午前の便だったので、
出発前日は成田のホテルに泊まった。
飛行機はANAだったので、ホテルもANAにしてみた。
チェックアウトを待っているとき、ホテル内にチェックインカウンターがあるのを発見。
しかしすぐ空港行きのバスが来てしまったので乗る。
これが大誤算だった。
空港に着いたらANAのカウンターが大混雑。
ここはディズニーランドか?と思うくらいの長蛇の列。
ANAのスペースの周りをぐるっと半周するくらい列が続いている。
しかも中を見ると、共同運航便のカウンターはがら空き。
なかなか進まない列にみんな殺気立っている。
係員にここで待てと言われて、前の人と間が開いているのに
ばか正直に立ち止まっているお姉ちゃん。
「前が進んだよ」と言ったらものすごい剣幕で怒鳴り返された。
これだけの列に並んだら、
きっと以前なら文句たらたら、殺気立っていたに違いない我が家。
でも今回はなんだか平静だ。
オランダやフランスで並ぶことにすっかり慣れてしまったのか?
飛行機に間に合うのかなと思っていたら、
係員がやってきて子連れで大変だから先にどうぞと言われる。
ラッキー!ANAのスペースに入ることができる。
しかし入ってからもカウンターにたどり着くまでまだ長蛇の列があった。
中に入れただけましかと並んでいると、
またまた係員がやってきて子連れで大変だから
先にチェックインしますとファーストクラスのカウンターに連れて行ってもらえる。
ラッキー!らんちゃんのおかげだ。

このラッキーはフランスに着いてからも影響があった。
預けたスーツケースが最初に出てきたのだ。
きっとファーストクラスのところでチェックインしたからに違いない。

★機内にて

飛行機での長距離移動にすっかり慣れてしまったのか、
お子様たちは余裕の表情。
さっさと靴は脱ぐわ、ヘッドホンで映画を見るわ、
疲れるとさっさと寝てしまうわ…。
一番疲れたのは、お子様たちのために常にスタンバイしていなければならない
親だったりする。

ところで、うちはチャイルドミールをリクエストしていたので、
席の上の荷物入れのところに黄色いシールを貼られていた。
これがチャイルドミールの目安らしい。
ふと斜め前のフランス人を見やると、
食べているものが私たちと違う!
彼女の席のところには緑のシールが…。
これがうわさに聞くベジタリアンメニュー?
メインディッシュはクスクスかご飯かにラタトゥイユ状の物がかかっている、
前菜はアボガドだ。
私はアボガドが好きじゃないのでそれだけはパスだけど、
あのメインディッシュは私の食べたサーモンのクリームソースよりおいしそうだ。
デザートもフルーツサラダのよう。
私のチョコレートケーキは甘すぎて、
ダンナがいらないとくれたけど、
とても二個は食べられる代物ではなかった。
私たちの左側一帯はフランス人ばかりが座っていたが、
そこには緑のシールがそこかしこに貼られていた。
狂牛病や口蹄疫騒ぎで
にわかベジタリアンが増えていると聞いていたが、
まんざらウソではないらしい。

★恐怖のフランス入国

ビザという心強い後ろ盾はあったものの、
EU外からフランス入りするのは初めて。
オランダからフランス入りしたときは
日本で国内便に乗ったときのような感じ。
何のチェックもなく、あれよあれよというまに出口だった。
しかし今回は違う。
やっぱり入国の理由を聞かれるだろうし、
もしかしたらフランス語で聞かれるんだよな。
なんて言えばいいんだ?
しかも新品のビデオカメラ、見つかったら税金いくらかかるのかな?
心配はつきない。
機内では入国カードを配られ、
私なんか旧姓まで書かされる面倒なもの。
うわー、こりゃ先が思いやられると思っていたが、
いざ着いてみると
パスポートチェックなし(というより、うわー5人も来た!いい、いい、通しちゃえって感じだった)、
税関でも新品ビデオカメラは逃れることに成功。
さらにあの入国カードの提出を忘れる始末。
それでも誰も追っかけてこなかったから大丈夫らしい。
ビザの部分をちょっと見せてやりたかったがまあいいか。