始めるまで

日本にいたときは曲がりなりに13年もチェロを弾いていた。
オーケストラでとにかく弾きたかったのだ。
さいわいダンナも同じ趣味を持っていたので、
二人して大きな楽器(ダンナはトロンボーン)を持って練習に行った。
子供が生まれても練習場に連れて通っていた。
二人子供が生まれたところで楽器が車に乗らなくなり、
そのために車も買い換えた。
しかし三人目の子供が生まれ、状況が変わった。
いくらワンボックスカーで、最大7人だか8人だか乗れるといっても、
うちは楽器が大きいので、
楽器一つ一つがすでに子供と同じ(かそれ以上の)大きさなのだ。
つまり、子供3人とは言っても実際はプラス二人の5人乗せているのと同じ。
しかも面倒なことに楽器は椅子に座ってくれない。
そろそろ子連れオケ活動も終わりか?
と思っていたら海外転勤になった。

転勤が決まる前からバイオリンをやりたいとは思っていた。
弾いてみたい曲があったのが一番の理由だが、
バイオリンだったら子連れオケ活動が続けられるかもしれないというのも
理由の一つではないと言えない。
バイオリンだったら、ひざの上に乗るじゃん!
日本でも家の近くで探したが、
唯一見つかった某音楽センターは
もちろん通わなければならないし、楽器も持参。
お月謝も結構高い。

しかしヨーロッパはクラシック音楽の本場。
きっと習うところもごろごろしていて、
お値段も破格に安いのではないか?
そんな甘い期待を持ってやってきた。

フランス語が全然できない私は
生きていくためにフランス語を覚えなければいけない。
日本人向けの情報誌を見たりして
フランス語の先生を探す(ふりをする)。
しかし同時にバイオリンの先生探しも始めた。
正確にはこちらのほうが一生懸命だった。
フランス語は独学でもできる(とは限らない)が、
バイオリンは独学じゃまず無理。
近所にコンセルバトワールがあると分かると、
子連れで突撃訪問。
26歳までとわかりがっかり。
市役所でもらったカルチャーセンターの案内を
片っ端から読んでいたらバイオリンのクラスを発見。
でも通うのはちょっと難しいかな…しかも遠いし…。
(その案内でフランス語学校も発見。
読んでみるものだ)
そんなこんなで日が過ぎる。