赤信号

フランスの交通事情の悪さはもしかしたらもう有名なのかな?
ダンナに言わせれば「ぶつからないこと」が唯一の交通ルールだそうだが、
私はフランスでは一度も運転していないので、そのへんは実感が薄い。

普段は子供たちを連れて歩いていることがほとんどなのだが、
フランスの人たちは赤信号を守らない。
信号が何色だろうと、車が来なければ渡ってしまう。
車のほうもそれを心得ていて、人が渡っていれば止まってくれる。
日本だったら大クラクションものだろう。
律儀に赤信号を守っているほうがばかみたいだ。
うちはちょろちょろ落ち着きのない子供がいる上に
ベビーカーを押しているので、とっさのときにすばやい行動ができない。
だからなるべく赤信号は待つようにしているが、
どうみても車が来ない場合なんて…渡ってますねえ、赤でも。
フランスの信号は歩道が赤になっても、車道のほうがなかなか青に変わらない。
この時間に渡ってしまう歩行者が多い。
私はまだこのタイミングがよくわからないので、できないけれど。

一方、車のほうは赤信号はちゃんと止まる。
今までの論理だったら車も信号無視し放題なのかと思うが、
車は危ないということを一応心得ているらしく、
車道が赤の間は安心して道を渡ることができる。
車が思いっきり赤信号を無視しているのは今までで
夜のパリ市内で一度しか見たことがない。

しかし車も相手が人ではなく車の場合は事情が異なる。
うちの近所の大きな四つ角、しょっちゅう事故が絶えない。
よく観察してみると、信号が変わっているのに無理に右折左折しようとして
事故になってしまっているようだ。
とうとう警官が交通整理する事態になっている。
喉もと過ぎればまた事故るんじゃないかと密かに思っているが。

先日ちょっと変わった体験をした。
いつも歩いている横断歩道が赤だったので待っていた。
というのは、車通りがけっこう激しかったからなのだが、
そこで一台の車が止まって道を譲ってくれたのだ。
あの~、歩道は赤なんですが…。
子連れだったから気を利かせてくれたのかしらん?
赤信号を譲ってもらった貴重な体験だった。